初期教材でつまづかずに順調に進んできた生徒さんでも、その次の大きな壁がツェルニー30番練習曲だ。1番から弾きにくい。きちんとした速度で綺麗に弾けるようになるにはリズムを変えてゆっくりから練習しないと到底無理であろう。これから長く続くツェルニーのエチュード全般に置いて言えることだ。

音感やリズム感、和音判別などはどうしても生まれ持ったもののウエイトが高く不公平であると思う。しかし、こちらの
粒を揃えて綺麗に!という技術は努力によって誰でも勝ち得る可能性があると思っている。

メトロノームに合わせてゆっくり丹念に音を紡いでいくことは他の事柄の集中力にも繋がるし、その、ぴっちり真珠のように連なっていくピアノの音そのものを楽しんで練習して欲しいと思う。最初転んで不安定だったものが徐々に形を変えて美しく変化していくものを自分の身体で体感できることは大きな喜びだと思う。

画像はツェルニー50番の45番め。
ツェルニーは30番で30曲、その次に40番で40曲、50番で50曲と続く。50番ともなるとかなりの難易度だが、この曲のロマン派にも通じる美しさはタイトルが無いのが残念でならない程である。

この曲の譜読みを初めてした時涙が出る程だった。ツェルニーがただのエチュード作曲家でなかったことを伺い知ることができる。